2012年6月9日土曜日

「計算遊び」から考える

中学生や小学生が見ているとは思えないのですが、もしかすると、検索で引っかかったりするかも知れません。

中学生にもなると、2乗や3乗などのべき乗の話を勉強されている事と思います。最近は苦悶式なんて学習方式もあるそうで、こうした知識はもしかすると小学生でも知っているのかも。
そうしたお子さんに「では、4の1.5乗は、いくつでしょうか」と問題を出したら面白いかな、なんて思ったのでした。

これは、100円ショップで買える程度の電卓 (もちろん、ルートは必要です)を持っていれば計算できてしまう問題です。また、知っていれば、暗算でもすぐに答えが出ます。
しかし、それを小中学生に説明するのは、少々骨が折れそうなので、ここで「試案」を出しておきます。

1) まず、4の3乗を考えてみましょう
4*4*4 = 64

2) つぎは、4の2乗
4*4 = 16

3) 4は16の「平方根」でした。平方根とは「2乗を元に戻す」、すなわち「1/2乗」の計算であると判ります
16^(1/2) = 4

4) 4^3 = 64 でしたが、64 = 2*2*2*2*2*2 = 2^6 でもあります
さらに、64 = (2*2*2) * (2*2*2) = 8*8 でもありますから、64の平方根は、8であると判ります

5) 4の3乗の平方根というのは、4の3/2乗、すなわち、4^1.5という具合です

かくして、4の1.5乗が求まりました。4^1.5 = 8 だったのです

ルートの計算を知っていれば、√(4*4*4) = 8という計算は出来ます。これで100円電卓でも4^1.5の計算は可能です。

こうした事を勉強すると「では、今度は3の3.25乗はどうなのか」などと思う、ひねくれたガキも出てくるかも知れません。これくらいならばまだ、100円電卓でも計算できます(√√(3^13))が、こういうガキが下手にルートキーなんていじってしまうと、更に「3の√3乗は ?」などという疑問に突き進んでしまうでしょう。
そうなると、関数電卓の出番です。関数電卓であれば、当面、計算については色々とやれるでしょう。

ヘンミの計算尺でも「中学生向け」というのがありました。これにはSI,TI尺、L尺があって、三角関数や対数の計算ができたものです。もちろん、本格的な計算尺に較べれば、機能は劣るものですが、それでも三角関数、対数・指数の計算は十分にこなせます。
こうしたものが、以前の日本には存在しておりました。中学生でも、三角関数や指数・対数の計算を行うかも知れない、そういう視点があったればこそ、の製品でしたが、今日では、中国のKADIOが、関数電卓で「中学生向け」を出している。しかも、海外の話とは言え、200円もしないという。

計算尺は関数電卓にその座を逐われてしまいましたが、代わりとなる関数電卓には、極端な話、ガキ向けの製品がない。いや、量販店に行けば、1000円で購入できるものがありはしますが、量販店の電卓の棚を見に行くガキなんて、そんなにいませんよ。それに、関数電卓は「プロツール」という扱いですから「ガキが使うんじゃねぇよ」というオーラがあって、なかなか、ガキでも「面白そう」と気軽に思わせる製品はないわけですね。それは、Sharpが出している「キティちゃん電卓っすよ」、「キャーッ、キャワイイーッ !」の類とは違い、機能、すなわち「何が出来るのか」を訴えて行かないとならない。ガキでも「こんな事が出来るんだ」と思えば、興味を抱く、そういうものです。それがリテラシイというものです。

一頃、CASIOは量販店の店頭で(ガキ向けの)小冊子を配布しておりました。CASIOは孤軍奮闘、リテラシイを涵養するべく、こうした事を地道に行っておりました。実に高邁な理念なのですが、ついでに「気軽に買える価格」の製品を一緒に出してくれないか、と思うので有ります。それこそ、こういう冊子を頒布し、その冊子にある問題を小遣いで買える関数電卓ですぐにでも試せる。いいじゃあないの。菓子付き玩具ならぬ「関数電卓付き小冊子」くらいのもの。

過日「100円ショップで関数電卓が売られる日」という小文を出しましたが、別に100円でなくても良いのです。しかし、近所のガキの目に触れる所に、ガキの小遣いで気軽に買える程度の価格 (200-300円程度 ?) で出してもらえないだろうか、と切に思うのです。今日ならば、そうした、ガキの小遣いでも買える程度の関数電卓が製造可能である筈です。ガキの目に触れる、という事で言えば、以前ならば、学校近くの文具店やスーパーの玩具売り場とかなのでしょうが、今日、そうした所も少なくなっていて、やはり、コンビニや100円ショップ、スーパーの文具売り場、あるいは書店とかいう事になってしまうのでしょう。そうした所に置いて、ガキの目を惹くのです ! 計算の小冊子を付けて「関数電卓付き小冊子」として !!

大して儲かるものではありませんから、メーカーとしては大変ではありますが、是非とも検討されたく。

あーあ、いつもの「電卓情報」になっちゃったよ ... 。だーれも見ていないのだろうけれども、やはり、訴えて行きたいのよ。

追記

「100の1.5乗」で検索された方が居られる様で。上記の手続きに従えば、

100^1.5 = 100^(3/2) = (√100)^3 = 10^3 = 1000

ちう事ですね、ハイ。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

では(-2.72)^3.14や(-4)^0.5などをやってみましょう(
邪悪)

akatuki さんのコメント...

匿名様、コメント多謝。

> では(-2.72)^3.14や(-4)^0.5などをやってみましょう(邪悪)

ウーン。小中学生に、これは、ねェ ... 。三角関数から対数・指数の知識はもとより、Euler則にまで話が行っちゃいますよネ。複素関数をしっかりとやるとなるとRieman面とか出てくるそうじゃないですか。当方、そこまで勉強していないので。電卓で解析接続は難しいので、今度はPCでMaximaとか。
でも、そうした話の取っ掛かりになったりすると思うんですよ、関数電卓をガキに与えたりすると。それが言いたかったのですよネ。

2.72 ~= e、3.14 ~= PI、という事で、今日の学習指導要領に合わせて、小数点以下2桁、とされたのでしょう。
確かに「PI=3.14」というのはどうなのか、という話がありましたが、これは「ゆとり教育」とセットだったのだと思うのですね。
「ゆとり教育」というのは、問題となる事から自らが考えて、その答えを導きだすという、実に創造力を試される学習だったそうです。
その過程で、与えられた知識以外の情報を、問題解決の手段として自ら探し出し、適用していく。そういう教育だった「らしい」のです。だから、担任教諭以外にに、ゆとり教育の専任教諭を用意しないとならなかったのですが、教育の現場もリストラの嵐、そんな事に税金を使っている場合ではない、それよりも俺達文科省官僚にカネをくれ、となって、ゆとり教育も専任教諭が置かれる事なく、いつしか「自習の時間」になってしまったそうな。
だから、算数の学習指導要領ではPI=3.14という知識になりましたが、ゆとり教育では、自らがそれを超える知識(PI=3.1415926535...)を得る可能性があった、そういう筈だったのだろうと。だから、準備段階の算数ではPI=3.14でいいんじゃないか、と。

今日、「ゆとり教育は失策だった」という結果になったとされ、再び計算ドリルをひたすらこなす教育ばかりが流行っております。しかし、それで大丈夫なのか、と案じておるのです。激安関数電卓を供給して、ガキ共の「計算」に対するリテラシイを向上させる。これは、個人個人で行う「ゆとり教育」の一つなのです。国家に頼ってばかりではいられない。実際、学校の勉強だけでは足りないちう事で、自分の所のガキを学習塾に通わせておる親御さんも多いじゃないですか。ならば、激安関数電卓の1つくらい、買ってやったら宜しい。メーカーは激安関数電卓を製造して、世にばらまく。経済はまわり、ガキ共のリテラシイも向上する。いいことばかりじゃないの !

ちう事ですねん。

匿名 さんのコメント...

akatuki様

しょうもないコメントに返信していただいてありがとうございます。
念のためakatuki様の意見を批判しているわけではなく、ただのジョークです。(ちょっぴりブラックな)

関数電卓を(教育的な)玩具として渡すっというのは良いと思います。
もっといえばプログラマブルなグラフ電卓が良いと思いますが、そこまで行くとちょっと高いですね。
しかし、
0^0は?
ゼロ除算ってなんでダメなの?
1/3=0.3333...=xなら3x = 0.9999...なの?
sin(3.14159265359 rad)でなんでカシオの電卓は0になっちゃうの?
などなど様々な疑問に先生も参ってしまうかもしれません(笑)

akatuki さんのコメント...

匿名様、コメント多謝です。

> 念のためakatuki様の意見を批判しているわけではなく、ただのジョークです。(ちょっぴりブラックな)

有難う御座居ます。

> 関数電卓を(教育的な)玩具として渡すっというのは良いと思います。
> もっといえばプログラマブルなグラフ電卓が良いと思いますが、そこまで行くとちょっと高いですね。

御賛同戴きまして、感謝。本当は、当方も「プロ電やグラフ電卓を」と思うんですが、やはり、高いんですよね。
そこで、ガキの小遣いでも買える関数電卓、というのを思いついたのです。関数電卓に親しめば、次の、より高機能な製品にも手を出す、という循環につながっていくのか、と。

> しかし、
> 0^0は?
> ゼロ除算ってなんでダメなの?
> 1/3=0.3333...=xなら3x = 0.9999...なの?
> sin(3.14159265359 rad)でなんでカシオの電卓は0になっちゃうの?
> などなど様々な疑問に先生も参ってしまうかもしれません(笑

そうなんですよね。ガッコのセンセイも、もしかすると、そうした疑問に答えられない、のか。
♪ そこに何がある、のか 何にもない、のか ?
教諭の質がこれでは、こういう教育は難しいのか ? ウーン。多科目を教える小学校教諭では仕方のないところかも知れませんが、中学校教諭ならば専門分化しているので、こうした疑問にも答えられるのかも知れません。それでも答えられないとなったら、そういう時は「自分で調べてみよう」と、まさに「ゆとり教育」です。そういうリテラシイを持つ、という事は、「先生の教える知識を越える」知識を「自ら調べて得た」という事で、より身につくものです。