2012年9月23日日曜日

こんな電卓があれば、そこそこウケるのではないか

先日は、Sharp電卓のマニュアルに愛を感じない、という短い文章を載せましたが、これを書いてから「はた」と気付いたことがあります。

市中に表計算の需要が広まり、それに伴って高機能関数電卓にも統計計算能が採用されたのではないか、という説を述べたのですが、それが正しいかどうかは置いておきまして、PCで表計算を使うのは割合ポピュラーな作業となっている、と思われます。今どきは「なまはげ」でさえ、表計算が出来無いとアカン時代なんだとか。それほどまでに表計算の技能が普及している、のか。当方は使えないというのに。

「Excelのできる子はいねえがー」 ハローワークでなまはげの募集開始 - IT Media
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1209/11/news109.html

PCを使うのに数値入力の利便からテンキーを外付けで利用する場面もあり、昨今、電卓メーカーは「テンキー機能もついた電卓」まで出しました。電卓として計算も出来るながらも、その計算した結果をPCに渡したりなど出来るという、便利なものです。しかし、それはPCの周辺機器としては便利ではあるのですが、同時に、電卓という計算の道具からPCの周辺機器という所まで落ちてしまった、という事でもあります。電卓製品を売るという「苦肉の策」ではあり、裾野を広げるための努力ではあるのですが、こればかりでは電卓も伸び悩み。そこで、過日は「100円電卓」などという思いつきを披瀝したのですが、なかなか、おいそれとは出てきそうにありません。
一方、今度はWindows RTが登場、これにはOfficeスイートがプリインストールで、本体を買ってくればワープロ、表計算が使えてしまうとか。しかも、MSのSurfaceは下馬評でかなりの低価格。ますます、電卓製品も伸び悩みとなりかねない勢い。「MSの激安タブレデバイスごときに、電卓製品の潜在的なシェアを奪われてたまるか」

そこで、電卓メーカー様には、「こんな製品を出したら面白いんでないの ?」という提案を。それは「表計算電卓」です。
MSのSurfaceはタブレデバイスで、新しいWindows RTもタッチI/Fを採用しております。タッチI/FはiPadの例で判るように、万人に共通して使いやすいMMI/Fではありますが、一方で、本当に細かい所を作りこまないと、却って使いにくい所が出てきてしまう。例えば、電卓アプリであります。タッチ操作で軽快に使えそうな気もする一方、電卓にはやはり、ボタンが必要。その辺りがMSでも判っているのか、SurfaceのOfficeはデスクトップで動作するらしく、基本、タッチI/Fのみでは使えないとみられます。即ち、表計算では、未だにキーボードのお世話になる。なれば、今度は電卓の側で表計算を取り込んでしまえばどうか、というココロです。
デザインとしては、カラー液晶にテンキー(+一部のキー)をメインコンポーネントとします。カラー液晶はそこそこのものが欲しい。で、表計算の機能としては、たいていの表計算ソフトにある数学関数、統計関数などの機能はもちろんのこと、マクロ機能も実装して欲しいですね。文字入力はどうするのか。それは、Bluetoothキーボードを外付けにして行う、くらいの仕掛けで切り抜けましょう。USBでPCと接続して、表計算データをやり取りする機能も欲しい。
こういう製品を作れば、ポケコン・関数電卓ユーザーはもとより、金融計算などを必要とするユーザーにも需要があると思うのです。新しい、21世紀のパーソナル計算デバイス。カラー液晶とテンキー程度ですから、背広のポケットにも入りますよ。いつもポケットに持ち歩いて、いつでも表計算。マクロも使えれば、実に様々な計算も自動化出来るのです。表計算ならば金融計算はもとより、様々な工学計算、統計計算も難なくこなすでしょう。まさに、万能計算ツール。それが電卓という形で、万人の手に行き渡れば、これは計算に対するリテラシイも向上するに違いない。素晴らしいじゃないの ! 「とかくこの世は計算さぁー」と言って登場した「カシオミニ」の、「今日あり得べき形」ではないか !

面白そうでしょ、ウヒョヒョ。電卓メーカー様には、是非とも御一考の程を。

2012年9月2日日曜日

統計計算の例題から

EL-5250のマニュアルの計算例題を一部抜き出してきました。

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あるお菓子屋の100g入りクッキーの内容が表示どお
りかどうかサンプリングを6回行って調査します。

サンプル(回目)    1   2   3   4   5   6
内容量        102  95 107  93 110  98


• 「良心的」
と仮説(m=100g)としたときのt検定
値を求めます。求めたt検定値が(危険率を5%と
したときの) t 分布表の値を越えると仮説はまち
がいということになります。

結果
Tの結果はおよそ0.3です。これは危険率5%におけ
るt分布表のtの値2.571より小さいため、このお菓
子屋は「良心的」と判断することができます。

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例題が充実している事は興味深いのですが、少々端折り過ぎな気がしなくもありません。統計計算、この場合は仮説検定で、慣れている人ならばどうという事もないのでしょうが、電卓で仮説検定の計算をやるというのは、まだそれほどポピュラーではない様に思うので、こうした例題を取り上げているのは珍しく、今回、ここで取り上げてみたのでした。

統計的仮説検定の計算は、それだけ機能が充実している製品でしか扱わないというものであります。基本、正規分布は必要ですし、t分布やChi^2分布、F分布まであれば十分らしい。しかし、そうした計算を電卓スクリプトで書くとなると、少々時間が掛かってしまう。なので、電卓のファームで答え一発が理想であり、一部の高機能電卓にはそうした機能が装備されています。
おそらく、近年はExcelなどの表計算が市中でも広く使われ、電卓にも統計計算能を求める需要が少なからずあったのではないか、と思われるのですが、EL-5250もそうした電卓製品の一つなのか、と期待してしまったのですね。

しかしながら、この取説の例題は少々舌足らずな感もあります。より詳細には、こんな風になりましょうか。
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「本当なら100g入りのクッキーみたいだけど、本当に100gくらいになっているのかな ? ヨシッ、サンプルを取って調べてみよう !」
という疑義から、つぎの仮説を設定。

対立仮説 H1 ; u != 100 [g] ... 母集団の平均は100gから外れているんじゃないの ?
帰無仮説 H0 ; u == 100 [g] ... 母集団の平均は100gみたいだね (その前提を否定できる状態にはないみたい)

t検定を使うのは、母集団の分散値が不明であるため。この例では、t値を計算して、検定を行う。
t値はプログラムによって計算され、その値は t = 0.3030... を得た。
「100gから外れている」という事を調べるので、両側検定を用いる。両側危険度5% (すなわち、片側危険度 2.5%)、自由度6-1=5に於けるt分布表の値(残念な事に、この数値は電卓では得られない)は 2.571 である。
計算のt値 = 0.0303 は数表の 2.571 よりも十分に小さい。これは、母集団の平均値の分布位置であり、数表の値 (2.571)よりも大きい場合には、「そこまで平均が外れる確率が、両側危険度で5%以下であり、そうした事は起こらないとして棄却できる」という領域であるのだが、幸いにして棄却できる領域=棄却域ではないので、帰無仮説を棄却する理由はなく、帰無仮説を支持するという事になる。

最終的に帰無仮説「母集団の平均は 100 g ではない、という積極的な理由はない (95 %の確度で)」という結論に至る。

それは「良心的」という事ではなく、単純に「母集団の平均が100g程度としてもおかしいとは言えない」という程度の話である。

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この電卓の取説例題は、「取説」以上のものではないので、こうした事を知っていないと「何を計算しているのか判らない」わけです。しかし、「知らなきゃ、そういう機能は使わないんでしょ ?」みたいなノリなのか、そうした説明も少ない。これじゃ、アピールしませんよ。

このEL-5250については、もうひとつ面白い事があります。それは「t分布数表としての機能を持っていない」ということです。
おそらくは、将来出すであろう後継機などでt分布数表程度の機能を盛り込むつもりだったのかも知れません。その準備として、こういう使用例を盛り込んでしまったのか ? 上位機種に相当すると考えられるグラフ電卓「EL-9900」にはTI-83+相当の機能が用意されているので、EL-9900でこういう例題を出すというのであれば話は判るのですが、t分布数表の機能を持たない製品の取説に、何でまたこういう例題を載せてしまったのか。「統計処理に気が向いたら、上位機種のEL-9900を買ってくれるんじゃね ?」なのか。だとしたら、実に悲しい。
取説と言えども「冊子」なので、ページ数の制約とかあるのでしょう。また、製品の発売スケジュールなどから、取説の締切もあったに相違ない。しかし、この例題はどうなっているのか。却って、製品の質を貶めてしまう事にならないのか。他に、もっとアピールする所はあったのではないか。電卓製品への愛を見出せない、それが悲しい。

「将来の上位機種への布石」だとしても、現状ではEL-5250、El-9900の上位機種が出ておりません。発売からかなりの時間が過ぎておりますが、EL-9900については、ついにカタログから姿を消してしまった様子。あるいは、もうすぐ新製品が登場するのかも知れません。しかし、今のタイミングで出るようには思えないのですね。いや、もちろん出してくれたなら、それは評価したい。今月は、Sharp創業100周年との事で、エポックな電卓製品が出る可能性も無くはない。もう少し待ってみたいとは思うながらも、電卓事業などを売却してしまうカモ ? みたいな話が出てきたら、それも怪しい。100周年で身売り。大法人経営の難しさ、なのか。

そういや、Sharpの電卓カタログには「キャラクター電卓」が出ておりました。いや、この不況の御時世、何でも売上に供するのは結構な事です。エヴァにけいおん、いいじゃないスか。しかし、その横にある「島某」って、何 ? 「オヤジの星」ってことなの ? 今どき、島某をキャラクターに据えるという、このセンスもどうかしている様に思う。
島某って、イケメンだからってオンナをたらし込んで情報引き、それだけで出世したっちゅうヤツでしょ。イケメンだけど、仕事らしい仕事をしないで出世してしまった、まるで原発大臣ホソノ ! 放射能瓦礫=ホソノ汁を津々浦々に撒き散らす、ゲンパツ大臣ホソノ ! ゲンパツ大臣ホソノ ! そりゃ、イケメンでモナともやっちゃったかも知れないが、今はモナだけではなく日本中にホソノ汁を撒き散らすゲンパツ大臣ホソノ !! そうか「そんなホソノにあや雁たい」もんで、島某なのか。そんな程度の事なのか ! いや、本当は「バンダイ屋」が(ホソノの燃料棒だけに)ねじ込んで来たのかも知れない。エヴァやけいおんと「抱合せ」販売。コリャー苦しい。

本当に電卓をやるつもりなのだったら、「ホソノ汁」キャラクター電卓なんてものよりも、機能をしっかり持った製品を出して欲しいのですよ。電卓事業の開発者も、新しい製品を作りたく願っているに相違ない。新しくて面白い製品を開発して世に出したい、というのは、開発者の願いです。しかし、経営サイドは「膿を出しきる」と言ってしまった。ああ、そうか、「売却」されてしまうのでムリなのね ... 。かくなる上は、売却された先で、ビックリする様な製品を発売して欲しいものです。未だにENELOOPのブランド名が残っている様に。