2007年7月18日水曜日

HP35Sについて #2

アメリカでの販売はもう少し先の様ですが、既にHP35Sは「株式会社ジュライ」(http://www.july.co.jp/)で発売されていました。現在は100以上あったと思われる在庫も底を尽き、次の入荷を待たないとなりませんが、アメリカでの価格が$59.99の所、ジュライでは7980円と、かなり勉強しています。さすがは「日本総代理店」を名乗るだけの事は有ります。

さて、webをさまよって調べた、35Sに関する憶測を書き連ねましょう。既に入手している人も多いのですが、当方はまだ持っていないので、ここに書く情報は確かなものではありませんが、参考情報として御覧戴きたく思います。

ここでは、性能が近しいと思われる「33S」との比較を取り上げます。

35Sと33Sは、ハードウェアの性能は余り変わらない様です。それどころか数値の上では、35Sの方が若干重く、そして大きくなっています。しかし、これはデザインの都合であろうと思われます。

問題はソフトウェア面ですが、33Sに較べると、後から発売された機種なので、様々な面が改良されています。

まず、レジスタの数ですが、33Sの27個から800個以上へと大きく増えました。これは、レジスタの内、「間接指定レジスタ」が増えたのでした。ですから、基本となる変数レジスタは、アルファベット1文字で表現されるレジスタのみと、33Sのものと同じです。
間接指定レジスタとは、レジスタI、Jによって場所が示されるレジスタで、一次元配列の様なものですが、名前は自由に決められません。この間接指定レジスタが、最大で800個あるというのです。
但し、間接指定レジスタは、プログラムメモリーと共通のエリアを使っているらしく、最大で800個というのは、プログラムにメモリーを使わない場合の様です。

プログラムは操作命令を書き連ねることで進めます。そのため、各命令は「ステップ」と呼ばれ、命令単位ごとに1行、という具合にプログラムを表現する様です。
各ステップは3バイトとなっています。そして、各ステップには「行番号」が発生します。1つのプログラム全体はアルファベット1文字からなるラベルで括られますが、プログラム・ステップの位置を示すのに行番号を使うので、プログラム中のある命令ステップの位置は「ラベル+3桁の行番号」という風に記述されます(ここでは「絶対行番号」と呼んでおきます)。そして、この絶対行番号を用いる事で、プログラム間の任意の位置へのジャンプが可能になります。
更に、プログラム・ステップの追加、削除によって絶対行番号はずれてしまいますが、それを自動で補正してくれる機能があるのです。

後、35Sになって、実数、複素数の他に、2D、3Dのベクトルを表現する事が可能になりました。スタックにも複素数やベクトルのデータを自然な形で置いて、計算操作ができると言います。そして、従来ならば、要素毎に分解していたものが、変数レジスタや間接指定レジスタにも、複素数やベクトルのデータをそのまま保存出来るというのです。

以上、webにある情報から色々な推測をしてみました。webの情報からの推測なので、すべての情報が確かではありませんが、入手検討の御参考にして戴きたく思います。

50gなどの上位機種と比較すると、こなれていない部分があるのは事実ですが、これだけ高機能な関数電卓が一万円を割る価格で購入出来るのです。日常的に関数電卓を使う方ならば、検討に値する機種と言えそうです。

まだ、35Sの情報を追跡して行く予定ですが、他にもHPや他社の電卓も取り上げる方向で検討しています。

2007年7月9日月曜日

HP35Sについて

Hewlett Packard社は、最初の関数電卓「HP35」を発売して、今年で35周年になるそうで、今年はその記念モデルとして「HP35S」を夏にも発売するそうです。

http://www.calculators-hp.com/35s.html
http://www.shopping.hp.com/product/handhelds/calculators/1/storefronts/F2215AA%2523ABA

このHP35Sには、少々面白い経緯がありました。ニュースグループ「comp.sys.hp48」にある情報によりますと、最初、HPにサイトに掲示された情報が、一時的に消されていたのです。07/04あたりには消されていた情報が再度掲載されたのでした。
何でこんなことになったのか、その詳細は不明です。

http://groups.google.com/group/comp.sys.hp48/browse_thread/thread/f6c3b525e4adcca0/60f52c6854d71545?lnk=raot#60f52c6854d71545
http://groups.google.com/group/comp.sys.hp48/browse_thread/thread/c8d40528f68e0fc7/9c50d2dba9a045e7#9c50d2dba9a045e7

また、hp電卓の「国内総代理店」としてHP電卓を輸入、販売している「株式会社ジュライ」では、「HP電卓 新機種プロトタイプも展示」していた店頭販売を行っていた様です。

http://www.july.co.jp/index.php?main_page=wordpress&p=103

さて、現状ではカタログ程度しか情報が得られないのですが、そのカタログを見ますと、既に発売されているプログラム関数電卓「HP33S」とかなり近しい性能であるように思われます。

http://www.calculators-hp.com/pdf/33s.pdf
http://www.calculators-hp.com/pdf/35s.pdf

しかしながら、販売価格が少し違うのです。

HP33S $39.99
HP35S $59.99

性能も、まったく同じという訳ではなく、次の点が変更されている模様です。

33S 27個の変数レジスタ、40個の内蔵物理定数
33S 800個以上の変数レジスタ、42個の内蔵物理定数

本体のデザインも大きく変更され、33Sの奇抜なものから、HP電卓伝統のスタイルへと変更されました。この辺りは35周年モデルとして意識されたものの様です。
また、これに伴い、キーボードの配置も大きく変更されています。この辺りが電卓の機能にどのような影響があるのか、大変気になる所です。

35Sのカタログの写真には、LCDに複素数の入力と思しきものが表示されています。33Sにも複素数計算機能がありましたが、これはお世辞にも高性能とは言えないものでした。
HP電卓の基本的な機種にはRPNのスタックが4段あります(RPLを使う高性能機種は「メモリの許す限り」です)が、33Sの複素数計算機能は4段のスタックを実部と虚部で使うので、複素数計算時には2段のスタックとして機能するのです。こうなると、余り高度な計算には使えなくなります。
その昔、HPの「シリーズ10」と呼ばれる関数電卓のシリーズに「HP15C」がありました。複素数計算機能や行列計算機能までを有する機種です。この15Cでは、複素数の計算時には、複素数4段のスタックを設定しておりました。そのため、普段と同じ感覚で複素数の計算が出来たのでした。
35Sの表示画像やキーボードの「i」キーを見ると、複素数計算機能に関しては33Sに較べてかなり改良されていると期待されます。

15Cには基数計算機能(2、10、16進数などの計算機能)はなく、同じシリーズ10の「HP16C」にその機能があったのですが、33Sにはこの機能も採用されているので、35Sでも使えるものと期待されます。一方、15Cには行列計算機能があったのですが、33Sには採用されませんでした。35Sに行列計算機能を期待するのは難しそうですが、出来れば載せて欲しい機能の一つと言えそうです。

以上、35Sについての「妄想」を書いてみました。この夏を楽しみにしましょう。随時、35Sの追跡をしていく予定です。