最近、電卓を持っているというのに、なかなか計算する機会がない。コマッタ。アカンなぁ。
そういや、静止衛星の軌道、高度がどのあたりなのか、頭の体操という事で、簡単に計算してみましたヨ。
静止衛星ちうのは、およそ、常に頭の上にあってほしい、そんな人工衛星であります。
即ち、衛星の周回周期が、地球の自転周期と同じである事になります。
静止衛星の周回する軌道では、万有引力と向心力が釣り合う、そんな具合になります。
万有引力の値は、
f = G * M * m / (D^2)
向心力は、
f = m * (w^2) * D
で計算されます。
G ; 万有引力定数
M ; 地球の質量
m ; 人工天体の質量
D ; 人工天体の周回軌道の地心距離 = 地球半径 (R)+ 周回軌道の高度 (H)
w ; 人工天体の公転角速度 = 地球の自転角速度
但し、大雑把な計算をしようと、地球の形状を球とみなしております。
より正確には、若干扁平な楕円回転体と言われておりますが、今は頭の体操なので「細けぇこたぁいいんだよ」。
さて、上記の式より、
f = G * M * m / (D^2) = m * (w^2) * D
G*M/(w^2) = D^3
D = (G*M/(w^2)) ^ (1/3)
となります。
最近の高機能電卓では、いくつかの物理定数が収録されているものがありますが、必ずしも、上記の値が利用できるものではありません。
こうした定数で、憶えやすいものとしては、
+ 地表付近の重力加速度 g = 9.8 m/(s^2)
+ 地球の半径 R = 6400 km
があります。
上記の地球半径はおよその値ですが、もっと憶えやすい値として「赤道の長さが40,000km」というのがあります。
これを憶えておくと、地球半径 R = 40000/(2*π) = 6,366 km という値が得られます。
これらの値から、万有引力定数 G, 地球の質量 M を忘れてしまっても、G*M のおよその値が計算できます。
地表に置かれたモノには、万有引力が働きます。その大きさから、
f_a = G*M*m/(R^2) = m*g
という関係があり、
G*M = g*(R^2)
と計算されるからであります。
上記をまとめると、
D = (G*M/(w^2)) ^ (1/3)
= (g*(R^2)/(w^2)) ^ (1/3)
となります。最後は、自転周期角速度 w ですが、地球の自転周期は 24時間じゃねぇの、と思ったら、正確にはそうではないのだと。コレは意外。
地球の自転周期は 23h56m04s と半端な値でした。
地球が太陽の周囲を回っている(公転)ため、
地球上の一点が、再び太陽へ向きを取るには、1周よりも少しだけ多くの角度を回る必要があります。
その回転に掛かる時間が24時間なので、地球が一回転する周期=自転周期は、それよりも少しだけ短くなるのだといいます。
公転周期は、ほぼ 365と1/4日 (閏年が加算されるため)ですから、一日で移動する公転角度は、360度÷365.25で与えられます。この分、余計に回転すると、ほぼ1日=24時間の長さですから、24h÷(1+1/365.25) を計算すると、上記の値に近い数字が得られる勘定です。
ここまで細かい数字を使っても、他の部分で精度が追求できるものではありませんから、自転周期 24hで計算を進めてしまいましょう。
自転周期を24hとすると、自転周期の角速度は、
w = 2π / (24*60*60)
です。
ここまでの情報を整理し、静止衛星の周回する高度をHとしておきます。
静止衛星の地心距離
D = R+H = (g*(R^2)/(w^2)) ^ (1/3)
- 地球半径 R = 40000 / (2π) (km)
- 地表付近の重力加速度 g = 9.8 (m)
- 地球の自転角速度 w = 2π / (24*60*60) (sec)
でした。これを電卓で計算すると、H+R = 42,190,825.5465 という数値が得られました。
これは地心距離なので、静止衛星の高度を求めると、
H = 35,824,627.8229 (m)
という具合。もちろん、以上の操作は概算を求めるものですから、実際の数値としては、35,800 km 程度となりますネ。
ref. 静止軌道 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%99%E6%AD%A2%E8%BB%8C%E9%81%93