2021年4月11日日曜日

今こそ、fx-61f の様な製品を欲す !

個人的に随分前から、少し気になっていたのが「CASIO fx-61f」というプロ電です。

fx-61f は、コンデンサやインダクタの記号キーが用意され、イムピーダンス計算を手軽に実行できる、今日としては「珍品」に属する製品ではありました。なので、今日に至るまで、その後継機種は存在しない模様です。

しかし、CASIOの電卓カタログに登場した時分、大変に面白いモノが出ていたのだと、感銘したのを思い出します。

今から思うに、結構「志」が高かったのは、プロ電として、30ステップのキーストローク言語のプログラミングが使用できたのです。また、電気計算に特化した数式ライブラリを持っていて、固定計算はライブラリ機能で十分、更に、問題解決の手段としてのプログラム機能が利用できたのです。

残念ながら日本語マニュアルPDFは入手できませんが、英語ならば、つぎの情報源が大変詳しいので、御一読戴きたく思います。

cf. Home Other fx series The Formula series fx-61f - ledudu.com
https://casio.ledudu.com/pockets.asp?type=550&lg=eng

このfx-61fの注目点としては、やはり「イムピーダンス計算機能」です。
これは、内部的に複素数計算をイムプリメントしたからこそ、実装できたのであります。
複素数計算機能を「チョット工夫でこのうまさ」で、イムピーダンス計算に応用した、その製品企画は、今日的にも十分刮目するところであります。

また、当時のプロ電としては、30ステップのキーストローク・プログラムが出来ただけでも「儲けもん」でした。
この頃には FX-501P, FX-702P などの高級プロ電、BASICポケコンも登場していて、プログラム容量などは比較になりませんが、価格帯が違います。確か、FX-501Pは29,800円、FX-702Pは39,800円くらいではなかったか ? それに較べ、fx-61f は 9,800円くらいだった様に記憶しています。
当時の半導体技術としては、価格性能比という事で十分な棲み分けがあったのですネ。

fx-61fは、製品企画として結構注目がされたのではないか、と、密かに思う所です。
それは、関数電卓として「一通りの関数計算が出来れば十分」という御時世に、敢えて「電気計算専用機」という企画を世に問うた、そこを評価したい。この企画の流れは、今日では 土木計算専用機・fx-FD10 proへ至っている、そんな風に思えてならない。更には、栄養士、看護師、薬剤師向け専用電卓というソリューションにも連なっている、と。

流石に今日「fx-61fヲ復刻セヨ」とは言いません。
それは、今日的にはもう少し機能を盛り込める筈だからです。
例えば、複素数計算能ですが、当時のfx-61f では四則演算と直交・極座標変換くらいの機能しかイムプリメントされて居りません。この辺り、今日的には対数・指数関数、三角関数程度まで複素数計算機能の拡張がされるとウレシイ。
更に、プログラム機能、その容量はもっと拡充して欲しい。それに伴い、キーストローク言語を更に拡充、プログラム管理機能まで導入されるとタノシイ。
そして、固定計算式ライブラリはもちろんですが、プログラム機能と共にSolver機能もあると便利です。
たしか、fx-61fと同じ様なハードウェア製品に、複素数計算能は無かったものの、キーストローク・プログラムを関数式とした、数値積分機能を持った製品があった、と記憶しております (型番失念)。
この辺り、HP15Cの数値積分機能とSolver機能を彷彿とさせるものですが、プログラム機能を数値積分やSolverで利用できる、というのは、今日的プロ電に必須の項目、といっても過言ではないでしょう。

もちろん、普通の関数電卓、グラフ電卓でも、イムピーダンス計算程度の事は十分こなせます。
しかし、イムピーダンス計算専用機は、言わば、かなりEducationalなものでもあります。専用数式ライブラリを持ったり、イムピーダンス計算に習熟させるなどの「効用」があります。こうした専用ツールを使い込む事で、電気回路計算の知見を涵養する、という事を切に望むものであります。

目下、高機能電卓、グラフ電卓は、それこそ教育市場へ大きく舵を切っているのですが、他の関数電卓、それはプロツールとしての座を守ると言っても、専門に特化しているでもなく、Generalな対応のまま、というのが少しだけ口惜しい、そんな事を思うのであります。
土木計算向けfx-FD10 proの様な専用電卓を世に問うたCASIOならではの製品企画に期待し度。

0 件のコメント: