火砕流に遭遇する確率に関するTweet
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1万年で火砕流90%は、人生100年とすれば、一生の間に遭遇する確率(すなわち火砕流で死ぬ確率)は0.9%だ。そんなに小さくない「1万年で90%」という事から、100年では90%/100 = 0.9% という目安を出しておりますが、確率計算の上では、どうなのでしょうか。
早川センセは、発生(火砕流に遭遇)する確率をp=一定としている様ですから、ここでも、その前提で計算を進めようと思います。
「1万年で90%の確率」とは言いますが、そのうちの「人生100年」は、1万年の1/100期間であります。
そこで、この「人生100年」を1回の施行とすれば、「1万年」は100回分の施行と考えてよいでしょう。
ここまで単純化して、いよいよ本題です。
100回(=1万年)の施行で90%となる発生確率の場合、1回(=人生100年)の試行による確率がどの程度になるのか、という問題に還元される事となりましょうや。
これを考える為に、複数回試行の確率を考えます。まず,最初は2回の試行から始めましょう。
p=2/3 という確率で生じる事象があるとして、1回で生じる確率は2/3であり、生じない確率は1/3である事に議論の余地はないでしょう。それでは、2回ではどうでしょうか ?
最初の1度目で生じる確率は2/3, 次に生じる確率も2/3 でありますが、ここには、次の組み合わせがあります。
1度目 | 2度目 | 確率 |
生じる | 生じる | 2/3 * 2/3 = 4/9 |
生じる | 生じない | 2/3 * 1/3 = 2/9 |
生じない | 生じる | 1/3 * 2/3 = 2/9 |
生じない | 生じない | 1/3 * 1/3 = 1/9 |
すなわち、2回の施行において「全く生じない」場合は1/9であり、いつの時点で起こるかを特定しない「起こる」確率は、全体の「全く生じない」場合を除いた場合として考える事が出来、その確率は 1-p = 1-1/9 = 8/9 と計算できます。
さて、この部分をもう少し考えてみます。
2回の施行で「全く起こらない」確率は、1/3*1/3 = 1/9 でしたが、つぎの様に考えてもいいでしょう。
n回の試行で「全く起こらない」確率は、p = (1/3)^n
n回の試行で「1度以上起こりうる」確率は、q = 1-p = 1-(1/3)^n
これをより一般的な表現とするならば、1回の試行で発生する確率を P として、
n回の試行で「全く起こらない」確率は、p = (1-P)^n
n回の試行で「1回以上起こりうる」確率(pの余事象)は、q = 1-p = 1-(1-P)^n
という、少し込み入った表式を得ます。
ここでは複数回の施行で発生しなかった事を「n回の試行をすり抜けて来た」と考え、「すり抜けの確率」と呼称します。
この辺りの考えをまとめて、件の「火砕流に遭遇しない確率」を、今一度考えなおそうというコンタンです。
100回の施行で90%の遭遇確率とは、100回の間、遭遇せずに「すり抜けて来た」確率の余事象ですから、
0.9 = 1-(1-P)^100
となります。但し、Pは「1回で火砕流に遭遇する確率」です。関数電卓をチョイチョイと叩けば、Pの値はたちどころに得られます。
1-P = (1-0.9)^(1/100) = 0.977237221...
P = 1-0.977237221 = 0.022762779, およそ2.28% という値が得られました。
0.9%よりも大きい値で、センセの仰る通り「そんなに小さい値ではない」とは言えます。
一方、危険率を5%に採ってしまうと、「2.28%は滅多に無いんだから、無視しても良かんべ」という事になってしまう。危険率の設定というものを、少し考えてしまう話題です。
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