2010年12月10日金曜日

何だか気になる、電子書籍の行方

パゴスやSONY readerが採用する「XMDF」ですが、何かとても気になります。

先日、本邦ではDVDなどの私的な複製についても、PCを使って行うと違法になるとかいう話が出ているそうです。

著作権法改正、来年にもマジコンの利用やDVDリッピングが違法に - Engadget Japanese
http://japanese.engadget.com/2010/12/06/dvd/

PCを使ってリッピングを行うにはCSSを解除する手続きが必要になるため、実質的にPCでDVDを複製する事が「違法」になってしまう様なのですが、何か、こうした話が出てくるとなると、電子書籍にも話が及んで来たりはしないかな、と。

そもそも、電子書籍はペーパーレスになるので、ハードウェアとしての紙媒体が不要になり、本屋に並んでいる書籍に較べてコストダウンする筈です。現在、大手印刷会社のオヤジは、手下に印刷作業をやらせて役員報酬が年俸ン億円と大変儲かっているそうですが、

ゲンダイネット
http://gendai.net/articles/view/syakai/127638

電子書籍となれば、印刷の手間はなくなってしまうため、年俸ン億円と言う話はなくなってしまう訳です。そこで目をつけたのが、電子書籍フォーマット。電子書籍では「印刷」は不要ですが、オープンではないフォーマットにすれば、その変換を「印刷」という作業の代わりとして、その変換作業でカネが取れる、と踏んだのでしょうか。ソフトウェアで「ボタンをポン」ですから、変換作業自体は印刷ほどカネが掛かる事はないのですが、そこで登場するのが、フォーマットの「ライセンス」です。XMDFはオープンソースではないので、ライセンス料金が発生します。そして、このライセンスを得て書籍データの変換作業を「印刷」と称して、印刷代金を戴く、というビジネスらしいのです。そうなると、XMDF形式の書籍は、通常の書籍に比して値段が下がる度合いは余り期待できず、「果たして書籍を電子で読む利便はあるのか」となってきます。

もちろん書籍の保存場所に関する問題も、電子書籍によって解決されるものです。書籍というものは、数冊程度ならばそれほど場所を取りはしませんが、書痴とも言われる人ならば大量の書籍を持っているものですから、その保存場所も問題になってきます。それが「電子データ」という形で解決されれば、場所がかなり節約できてしまうのです。こうした事で書籍を電子化する事を望んでいる人はいるでしょうが、まあ、ものとしての書籍に較べて、データだけの書籍となると、最初の内は余程特殊な人でない限り飛びついたりはしないのではないでしょうか。そこで電子書籍化による書籍のコストダウンが注目されるのではないか、と思うのですが、XMDFではそれが期待されないんじゃないか、と。

パゴスが「これはヤバいんじゃね」と思うのは、その対応フォーマットです。XMDFは自前フォーマットですから仕方ないとしても、他に対応するフォーマットに、これから世界標準になるであろう「ePub」が入っていない所ですね。一応、XMDF、テキスト(ShiftJIS)、PDF以外の文書をPCのアプリケーションによってXMDF形式に変換し、PCから読み込む事は可能な様ですが、余程マメな人じゃないと、そこまでしないよなぁ。増してePub形式はXMDFへ変換出来るのかしらん。

ここでは、そうした「余程マメ」な人がパゴスを買おうとした所を想定しましょう。今度は、その購入方法です。何と、量販店の店頭へ行っても、現状では「購入申し込み」しか出来ないそうな。そこまで自信があるんかね、パゴスに。申し込んで1週間とか待つと、ようやく御到着。そもそもwebでしか買えない電子書籍を買うのにも最初は手間が掛かるんですから、本体まで待たせると言うのは、どんなものかと思いますよ、正直。余程「有難い物」なんですかね。恩賜のタバコの方が余程有難い様な。

で、散々パゴスの悪態を吐きましたが、問題はこれから。マメな人が、取り敢えずパゴスで「自炊」した書籍を読んでみようと思い立った、とします。「コンテンツが、コンテンツが」とうろたえる連中の事ですから、先ほどのDVDリッピング違法と同じく、自炊した書籍も違法、とか言ってくるんじゃないか、と、そんな事を懸念するのですね。私的なバックアップ目的の複製は著作権法上問題はなかった筈ですが、来年にはそれも違法になるというのですから、果たしてどうなるのでしょうか。増して、自分で作成した文書を簡単に読める様には出来ていないパゴス。

「そこで、<正式な>電子書籍を購入して読めるパゴスですよ、お客さん」。おあとがよろしい様で。

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